癌の治療の原則は、原発巣、リンパ節を含む全ての病巣を切除することです。このためリンパ節転移の可能性のある進行癌は、外科的手術をして胃の外にあるリンパ節まで取ってあげないと治りません。しかし、リンパ節転移の可能性のない、一部の小さな早期癌は胃の中にある原発巣だけを取れば治ってしまいます。ここに着目して行う治療が、内視鏡的治療になります。
当院では以前より、多くの内視鏡検査の経験を生かし、早期の食道癌・胃癌・大腸癌の患者さんに、内視鏡的治療を行って参りました。その流れをご説明します。
図のように小さな粘膜内にとどまるガンに対する治療です。粘膜下層に生理食塩水などを注入することにより、病巣を固有筋層から浮かせて高周波を用いて切り取る方法です。
しかし、この方法では2cmを超える広いがんの場合は、スネアの大きさから病変を一括して切除することが出来ないため取り残しが出て、再発する危険性が指摘されていました。
近年、ITナイフの発明と内視鏡的技術の進歩により、従来より遥かに大きな病変でも確実に一括切除することが可能となりました。これにより切除後再発のリスクが大幅に軽減され、非常によい治療成績を上げています。それが内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)です。当院では東海地方でいち早く2000年10月よりこの新しい内視鏡的治療であるESDを導入し、現在では、年間100名以上の患者さんに対して行っています。


















ESDで治療した場合、勿論お腹に傷はありませんし、翌日胃カメラで切除した部分を観察し、問題なければ水分、その翌日にはおかゆが食べられます。また小胃症状(胃が小さくなって食べられる量が少なくなること)やダンピング症状に悩まされずにすみますし、なんと言っても傷の痛みがありません。