近年、大腸癌の増加、大腸癌集団検診の普及にともない、大腸内視鏡検査はルチンに行われるようになり、当院の検査件数も年々増加してきている。因みに、95年は2772件、98年は3293例となっている。
安全でスムーズな検査を実施するためには、被検者の理解を得ること、苦痛の緩和を図ること、また短時間で被検者の情報を把握することが必要である。そこで、数種類のパンフレットやビデオを作成し、更に検査体制の改善を図ることにより、円滑な検査が行えるようになったので紹介する。
大腸内視鏡検査は、未経験者から高齢者が多いため、検査の予約時から、検査方法、目的、前処置の方法や必要性を充分説明し、被検者の理解を得ることが必要である。予約の時点で、検査日、来院時間、ID番号、氏名を記入した予約用紙を渡し、その中に、検査に必要な注意事項を分かり易く記載し、又簡単に大腸の構造や癌の好発部位、ポリペクトミーの方法なども図示し、それらをもとに、看護婦が被検者一人一人に補足説明し、充分理解してもらえるようにしている。
検査は、65歳以上は原則入院で行っているが、64歳以下は入院・外来どちらでも予約でき、被検者の選択に任せている。しかし、鎮静剤を使用しているため、経験者や腹部手術の既往のある人は、入院を希望する例が多い。
検査は、月・火・木・金の週4日で、木曜日を除き平均20数例実施している。
上記を基本とし、在宅法や分割法も被検者のニーズに合わせて実施している。又、ニフレックが飲めない場合は、前日エニマクリン食摂取、当日マグコロール等張液方も取り入れている。
夕食後2時間:ニフレック1L飲水
就寝前:センノジド製剤 2錠服用
それぞれに説明用紙を作成し、予約時、被検者に選択してもらっている。
大腸検査実施予定表」の活用
検査が安全かつスムーズに行うためには、被検者の情報を充分把握することが必要である。当院では、検査予定者の氏名、年齢、感染症の有無、既往歴、手術歴を予めチェックし、一目でわかるように一覧表にしている。更に、当院での検査被検者は、前回の観察レポートに記載されている難易度をチェックし、難易度の高い被検者は、経験豊富な医師が施行し、又、X線透視が必要か否か判断したり、高齢者は、早い時間に実施するなど「大腸検査実施予定表」は、検査を円滑に進めるために効果的な手段として活用している。因みに、ポリペクトミー等の処置を含め1時間平均4名の検査が可能である。
外来では担当看護婦が、既往歴、薬剤過敏、鎮静剤の有無などを聞き取り、経口腸管洗浄液の服用上の注意、便の清澄度の判断について、マンツーマンで説明している。更に、<前処置確認表>を用い、経口腸管洗浄液の服用に要した時間、排便回数を被検者自信に記入してもらい、どの看護師が便の観察をしても、排便状況の把握が出来、前処置完了を判断するのに役立てている。
又、検査後の一般的注意事項、ポリペクトミー後の注意事項について説明した用紙を前処置の間に読んでもらうよう、一人一人に手渡しし、合わせて当職員で作成したオリエンテーションビデオを流し、検査をより理解してもらえるように役立てている。
検査の苦痛と不安の軽減を図るため、92年10月よりフルニトラゼパムの静脈注射を行っている。投与量は、年齢や体重、固有疾患により医師の指示で適宜増減している。
鎮痙剤は、臭化ブチルスコポラシン又は、臭化メチピジウムを使用し、心疾患、緑内障、前立腺肥大の既往のある被検者には、グルカゴンを使用している。
鎮痙剤を使用することにより、被検者の苦痛は最小限に抑えられるようになった。尚、当院では無透視下で検査を行い、全例回盲部までの挿入を基本としている。
検査は、2ヶ所で行い、従来は医師2名、介助担当者が4名、前投薬担当者が1名で行っていたが、検査時間が短くなり、介助担当者がスコープを洗浄していると、スコープ洗浄が間に合わないため、スコープ洗浄担当者を更に一名配置したことで、検査の待ち時間が短縮され、非常にスピーディーに進むようになった。以前より、検査台はストレッチャーを使用しており、移動は安全で、そのままリカバリーベッドとして利用している。スタッフを一名増員したことで、午後1時に検査を開始し、20余例を実施しても、ほぼ就業時間内に終了できている。
当院の下部内視鏡検査室は、上部とは別に設けてあるため、午前中、余裕のあるスタッフが、必要物品の準備、スコープ、光源、高周波装置等の周辺機器をチェックリストに添って用意し、始業点検も済ませておくため、午後の検査開始時間には、全て準備は整った状態にしてある。
以上、当院の大腸内視鏡検査の現状、工夫、改善等紹介しました。この他にも、検査目的が検査指示医師から検査実施医師に確実に伝わるよう<情報提供カード>を作成し、又、観察レポートは、前投薬や実施した処置の内容、難易度を記録できるように考案、次回の検査時の参考となるようにしました。
更に、被検者の検査着はオリジナルのデザインで、最小限の露出で済むよう被検者の羞恥心にも配慮しています。
現在、内視鏡検査における感染が話題となっています。当院でも内視鏡機器や処置具の洗浄・消毒及び、内視鏡室の環境の問題について、まだ検討・課題が残されています。今後、より確実で効率的な洗浄・消毒を行うため努力していこうと思います。
注:上記は平成11年に発表されたものです。
現在は検査棟が増設され、いくつか変更・改善された部分があります。