近年、内視鏡治療の進歩は目覚しく、技術の進歩、デバイスの開発により内視鏡治療の適応が拡大されてきている。広範囲の病変を的確に完全一括切除でき、早期癌治療の第一選択として位置づけられている内視鏡的粘膜下層剥離術(以下、ESD)は、当院でも4年前より取り入れられ、2004年9月までに約200例実施した。
第21回東海消化器内視鏡技師研究会で「情報伝達方法の確立と安全なよりよい看護の提供」を目的としクリティカルパスの作成、術前・術後訪問の開始、術中看護記録の見直しなどを行い、安全な治療の提供に一定の効果を得て報告した。その後、剥離困難な症例や出血、長時間に及ぶ症例を経験する中、治療、介助に関わる技師の役割の重要性を痛感した。
そこで今回、スタッフがそれぞれ一定の知識や技術を習得するために、内視鏡業務の標準化を図り、看護業務遂行基準、並びに評価表を作成し、治療に関わる技師に求められる役割について検討したので、ここに報告する。
・治療介助者の技術レベルの向上
・看護の質の向上
ESD導入時は、スタッフの治療に対する知識も浅く、新しい高周波装置、次々に開発され使用されるデバイスの特性、予測しづらい治療時間の中での患者管理など、満足のいく介助がなかなか出来ずにいた。更にその後、対象部位、適応病変が拡大され、剥離困難な症例や、出血などにより予測時間を越える症例を経験し、医師の熟練した技術に加え、治療に関わる技師として、安全面を重視した共通認識をもつ必要があると考えた。
1.看護業務遂行基準の作成
当初、治療の体制は技師、看護師3名で処置具の直接介助、患者看護などを担当していた。しかし、スタッフが日々変わることにより、介助者によって患者が受ける看護(サービス)が異なる状況がみられ、スタッフを固定する必要性があると考えた。
そこで、5名のスタッフで2ヶ月間の担当固定制とし、各ポジションをローテーションし経験を重ねることで、ESDに関する知識、技術を習得することができ、各ポジションの役割を理解することができた。
次に、業務を整理し、スタッフ間での業務の標準化を図るため、看護業務遂行基準(以下、基準)と題したマニュアル作成に取り組んだ。
基準は、準備と始業点検、介助、後片づけ、緊急時の準備と段階を分けて作成した。その形式は
1.目的
2.期待する結果(アウトカム)
3.実施時の注意と心構え
4.実施前の点検・確認
5.実行の手順
6.施行後の観察・評価
の6項目とし、 基準と手順を整理したことで、必要とされる役割が明確となった。この基準を勉強会やミーティングで読み返す事で、治療の目的、内容の把握、介助技術やテクニック、患者観察のポイントなど実践に役立っている。また、業務を整理したことで担当スタッフを2名に合理化でき、従来と変わらない介助、患者看護が提供でき、医師からも高い評価を得ている。
2.評価表の作成
2ヶ月間の固定担当制を経験し、理解度と技術の習得度を確認するために、評価表を作成し自己評価・指導者評価を実施した。評価項目は技師として必要とされる専門知識、処置具の直接介助、患者看護、物品管理を中心とした項目をあげ、評価基準は 3点:達成できている 2点:だいたい達成できている 1点:努力を要する の3段階評価とした。
自己評価では、自己の振り返りができ個々の意識の向上につながった。また、評価点2・1と評価した項目や指導者評価で自己認識と相違があった項目に対して再度、教育することで知識を深め、自己のレベルアップ、介助者の技術レベルの向上が図れた。
今回、看護業務遂行基準と評価表を作成したことでESDの介助業務全般を振り返ることができ、治療に関わる技師としての役割を認識することができた。
評価表で自己評価と指導者評価との相違で改めて認識できたことや、自分を評価する機会を得たことは個々のレベルアップ、介助者の技術レベルの向上には、よい成果を得た。
今後も、発展する内視鏡治療に技師としての関わりを重視し、患者の安全を第一に考えた看護を提供していきたい。