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中野胃腸病院

愛知県消化器内視鏡技師懇話会

「大腸内視鏡検査前処置剤服用量と腸管内残液量との関係」

~検査時間との関連も含めて~

 

Ⅰ.はじめに

 当院は、消化器専門病院で、年間約4600件の大腸内視鏡検査(以下CFと略す)を施行している。CFの前処置剤として、ポリエチレングリコロール液(以下ニフレックと略す)服用を基本としているが、CF説明時、患者より「ニフレックを飲むのが辛い」という声がよく聞かれる。又検査医からは「腸管内残渣や残液が多いと、検査時間が長くなるので減らすことができないか」との意見もあった。ニフレック服用量が少なければ、腸管内残液量が減るのではないか、又腸管内残液量が少なければ検査時間が短くなるのではないかと考え、実際の腸管内残液量の測定を行った。

Ⅱ.目的

ニフレック服用量と腸管内残液量の関係を調べ、検査時間の短縮が図れるのかを検討する。

Ⅲ.研究方法

 期間:平成19年5月7日~6月8日

対象:院内でニフレック服用した外来患者のうち、3時間以内に検査可能となった61名(治療を要した例を除く)

年齢:27歳~74歳

前処置:前日昼より低残渣食、21時センノシド2錠内服。検査当日透明な排液になるまでニフレックを服用。

測定項目:①ニフレック服用量

②ニフレック服用後の排便回数

③スコープから吸引した腸管内残液量

④検査時間

検討項目(1)対象をニフレック服用量でA~D群に分群し、以下①~③に対し検討

(A群)2000ml(B群)1500~2000ml未満(C群)1000~1500ml未満(D群)1000ml未満

①平均腸管内残液量の比較

②平均排便回数と残液量の比較

③平均検査時間の比較

(2)対象を検査時間でⅠ~Ⅲ群に分群し、以下④⑤に対し検討

       (Ⅰ群)10分以内(Ⅱ群)11分~15分(Ⅲ群)16分以上

④平均腸管内残液量の比較

⑤難易度の比較

  難易度・・・当院医師の定めるスコープ挿入の指標

   A難度:容易に挿入できる B難度:やや難しい C難度:非常に難しい

倫理的配慮:口頭で今回の研究についての説明し、同意を得られた患者に調査を行った。

Ⅳ.結果

 検討項目(1)

分群の内訳は、(A群)14人、(B群)32人、(C群)13人、(D群)2人であった。

①平均腸管内残液量は、(A群)305ml(B群)247.5ml(C群)194.5ml(D群)125mlであった。

②平均排便回数は、(A群)11回(B群)11回(C群)11.2回(D群)8.5回であった。

③平均検査時間は、(A群)11.9分(B群)13.3分(C群)10分(D群)14.5分であった。


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検討項目(2)

分群の内訳は、(Ⅰ群)30人(Ⅱ群)20人(Ⅲ群)11人であった。

④平均腸管内残液量は、(Ⅰ群)230.6ml(Ⅱ群)244ml(Ⅲ群)288.1mlであった。

⑤検査時間別、難易度は、(Ⅰ群)A難度30名(Ⅱ群)A難度15名、B難度5名(Ⅲ群)A難度5名、

B難度5名、C難度1名であった。


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Ⅴ.考察

検討項目(1)  <対象をニフレック服用量での分群>

①平均腸管内残液量は、ニフレックを2000ml服用したA群では305ml、1000ml服用したD群では125mlで、ニレック服用量が少ないほど残液量は少ない事が分かった。

②平均排便回数は、A~C群で平均11回、D群のみが平均8.5回であった。ニフレックを1000mlに減らす事が出来れば、平均排便回数・平均腸管内残液量とも減る。

③平均検査時間は12.2分で、A~D群間に大差は認められなかった。各群での差も最大4分程であり、ニフレック服用量と検査時間には直接的な関係が無いと言える。

このことから、腸管内残液量を減らすにはニフレック服用量の減量は有用である。しかし、検査時間の短縮には繋がらない。

検討項目(2)  <対象を検査時間での分群>

④平均腸管内残液量は、検査時間が10分以内であったⅠ群と11~15分要したⅡ群は、ほぼ同等であったが、検査に16分以上要したⅢ群は、残液量が若干ではあるが多かった。

⑤難易度でみると、検査に16分以上要したⅢ群は、残液量が若干でも多い事が影響してか、半数以上がB・C難度で、挿入するのに難渋している事が分かる。

このことから、残液量が多い対象は、難易度も高い傾向にあり、残液を吸引する時間が、検査医が感覚的に長いと感じているだけでなく、腸管内に溜まった残液が挿入の難易度に影響した要因の1つと言える。

Ⅵ.まとめ

1.ニフレック服用量と腸管内残液量は比例する。

2.腸管内残液量を減らすにはニフレック服用量の減量は有用である。

3.管内残液量が少なくても検査時間の短縮には繋がらない。

終わりに

今回、検査医の意見から単純に腸管内残液量の調査を行ったが、検査可能となった症例だけを対象とした為、どの検討項目についても有意差が認められなかった。

時間短縮は、検査医の習熟度や患者個人の持つ要因も影響するが、前処置が良好であるかどうかが最大の鍵である。患者負担の軽減を図るため、検査医の望む条件を満たすだけでなく、患者の立場となり、今後も取り組んでいきたい。

 

 

 

 

 

 

 

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