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中野胃腸病院

第24回 東海消化器内視鏡技師研究会


胃内粘液溶解除去剤に対する検討

上部消化管内視鏡検査(以下、GIF)は、周辺機器の進歩により、診断能が向上し 早期胃癌・微小病変の発見につながっています。
胃粘膜表面を覆う粘液は、観察の妨げとなり、粘液除去が不十分な場合 検査中、粘液を洗浄する時間や量が増え、検査時間は遅延し、患者の苦痛も大きくなります。 そのため、前処置で、付着する粘液を、十分、除去する事が重要です。 従来、当院では、粘液除去のため、検査30分前に、5%バロス消泡液40ccのみを、 服用していましたが、胃内の粘液除去の、不十分な例が多かったため、 前処置剤の検討を行う必要がありました。 プロナーゼMS(以下、プロナーゼ)は、消化器内視鏡ガイドライン第2版、上部内視鏡・ 色素内視鏡ガイドラインに、前処置剤として有用性が認められ、取り上げられています。 そこで、当院でも、前処置剤にプロナーゼを併用した結果、明らかな効果がみられ 観察が容易となりました。 しかし、1日50件を越える検査件数の中、プロナーゼ服用後、体位変換のための スペース、スタッフの確保が難しく、また、前処置時間も長くなり問題となりました。 そこで今回、GIFの前処置剤として、安全で有用な薬剤として使用されている プロナーゼの効果を、患者の苦痛の軽減、前処置、及び検査時間の短縮を目的として 様々な視点で検討したので、ここに報告します。


目的

対象

2004年9月21日~2005年1月31日の期間にGIFを受けた患者のうち無作為に選んだ933名

方法

プロナーゼ2万単位 及び 炭酸水素ナトリウム1gを 20ccの微温湯に溶かし5%バロス消泡液 40ccを加え、全量60ccを 経口投与しました。

胃内の粘液付着の評価基準は、当院 内視鏡医が設定し
表のように、4段階評価としました。
大弯を明らかに越えて粘液付着がある(3点)
大弯に著明な粘液付着がある(2点)
大弯に軽度な粘液付着がある(1点)
粘液付着がほとんど無い(0点)    

その結果を年代別、服用から検査までの時間、体位変換の有無、男女別、
H2RA・PPI服用の有無で比較、検討しました。
統計学的検定にはマン・ホイットニーの検定を用いました。


結果

(グラフ1)は年代別の検討です。年代は30代、40代、50代、60代
70歳以上に、群を分け、検討しました。
検定では、明らかな有意差は、認められませんでした。
すべての群において、粘液付着は90%以上が軽度であり、観察容易でした。  

年代別

(グラフ2)は、服用から検査までの時間別の検討です。
5分間隔で、30分までの群に分け、検討しました。
検定では、明らかな有意差は、認められませんでした。
すべての群において、粘液付着は85%以上が軽度であり、観察容易でした。  

年代別  

(グラフ3)は、体位変換の有無の検討です。

検定では、明らかな有意差は、認められませんでした。
両者に大きな差はなく、両者共に、68%に粘液付着がほとんどなく、観察容易でした。

体位変換 

(グラフ4)は男女別の検討です。
両者共に、粘液付着は90%以上が軽度であり、観察容易でした。 
検定では(グラフ5)のように、男女別で有意差があり、 男性に、有意に粘液付着を認めました。

体位変換   

男女別 

(グラフ6)は、H2RA・PPI服用の有無の検討です。
H2RA服用中の患者の 61%には、粘液付着はほとんどなく PPI服用中の患者の 90%以上に、軽度から著名な 粘液付着を認めました。 検定では(グラフ7)のように、全ての対象群間に有意差があり、PPI服用中の患者に 有意に粘液付着を認めました。  

PPI服用中  

考察

  1. プロナーゼ服用後、体位変換なしでも、観察に支障となる粘液付着をほとんど認めなかった。
  2. 服用から検査までの時間は、30分が推奨されているが、15分に短縮しても 明らかな差は見られなかった。
  3. 男性に 有意に粘液付着を認めた。
  4. 制酸剤が プロナーゼMSの粘液除去作用に、何らかの影響を与えていると考えられた。


まとめ

プロナーゼの併用により 観察が容易となり 検査時間が短縮でき、 患者の苦痛の軽減が図れました。
体位変換を省いたことで 前処置が簡略化でき、また時間短縮が図れました。
考察③④については今後、因果関係を追求してみたいと思います。

終わりに

GIFでの微小病変の発見には、医師の診断能力のみならず、前処置に関わる私達、技師の
果たす役割は重要です。検査件数が多い現状で、患者の安全・安楽を第1に、 質の高い検査を提供できるよう、今後も介助に努めていきたいと思います

 

 

 

 

 

 

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